詩

アリ

 

 

日差しの強い日、地面に腰を降ろし

 

休んでいると、よく見かけるアリの群れ

 

えさを求めて、動き回るアリの群れ

 

どのアリ見ても、休んでいるアリはいない

 

どのアリ見ても、えさを食べるアリはいない

 

アリの群れは、黙々と動く

 

アリの群れは、いつ休むのか

 

アリははたらきものだ

スケート場にて

 

 

 

 

 

 

       渡部 絵美

 

誰もいないリンクの上

 

静寂な室内にビシーンと音が走る

 

氷のきしむ音だ

 

自分で氷を蹴った音と

 

耳からヒュー、ヒューとかすかな音が聞こえる

 

風の音だ

 

淡い氷の表面に、エッジの跡が次々とできていく

 

いつだっただろうか

 

この銀盤の上でスター選手が

 

スポットライトを浴び、大勢の観客に見つめられ

 

華麗なスケーティングをしていた

 

あの時、熱烈に包まれていた観客席には

 

誰もいない、音もない

 

冷え切った室内は、いつまでも静寂だ

 

 

雪が解けて土の中から小さな花が出てきた

 

冬は寒くあんなに積もっていた雪の下で

 

春の到来をどんなに待っていたか

 

眩しすぎる太陽の光、快い風

 

鳥のさえずり、なんとも表現できない春の香り

 

体が躍動する

 

生きているからこそ、この感動がある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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