香り姫

香り姫

これから話す内容は自分で考えた 小話です
題名は 「香り姫」と言います

香り姫

ピンポーンとチャイムが鳴りドア越しに「郵便局です」と声があり 、ドアを開けるとゆうパックで 
送られてきた荷物の送り主は 中標津の母からだった。中身を見ると 香水と母からのメッセージには
「美也子ちゃんは1年近く家に帰ってきてないけれど元気にしていますか 1週間前に東京へ行ってきた
ので 美也子ちゃんのお土産を買ってきたので送りました。 体に気をつけてね」と母からの優しい
心遣いに胸がキュンとしました。

 

棟方美也子は23歳、札幌のアパートで一人暮らし、 現在は無職。実は 美也子は今まさに首吊り自殺を図って
いるところで 、母からの荷物が届いたこともあり 、自殺の決行日は 明日にすることにしました。
送られてきた香水の蓋を開くと、それはそれはものすごくいい香りがして、部屋中に満たされた 香りで、
幸福を感じる心地よい気持ちになり、やがて 美也子は深い眠りにつきました。 そして夢の中で姿は見えません
が女性の声で「美也子さん、美也子さん」と呼ばれハットします 。「こんばんは 、私は 香水の香り姫です。

 

 あなたは明日には命を絶とうとしているけれど、本当にそんなことをするのですか 。
そんなあなたに死後の世界を見せてあげます。」そうすると 先ほどのいい 香り から 死んだ 美也子の
悪臭は息が詰まるほどで、死んだ美也子の傍で美也子自身が立ってそれを見ていて、背筋が凍るほどの
鮮明な場面が出てきた。更に美也子の骸の傍で父と母が泣き崩れているのではないか。
美也子は泣いた、泣いた。

 

背後から香り姫は「美也子さんが死んだら両親はどれほど悲しむのかお分かりですか。」泣き続けながら
美也子は目を覚まし、自殺なんか絶対にしないと心に誓いました。それから美也子の散らかしている部屋
の中を、数日かけて少しづつきれいにしていき、寝るときは香水を付け、夢の中には香り姫は出てきません
でしたが、ある夜の夢の中で香り姫が出て来て「私の香水のお得意さんはいっぱいいて、美也子さんの
ところに来れなくてごめんなさい。私の香水は脇役で貧弱な顔や容姿、服装には似合いません。

 

女性の内面や外見が磨かれた人にしか効果がありません。」
確かに今の美也子は40歳くらいの草臥れたおばさんの容姿です。
次の日から美也子はジムに通ったり、今まで以上に化粧したり、服装や
アクセサリーにお金をかけて女を磨く努力をしました。

 

2か月ほど経った頃、就職試験にも合格して、はつらつとしてお仕事を
しています。美也子が香水を付けて歩けば男たちの視線を浴び、
散歩中の犬さえ寄ってきます。幸せをいっぱい噛みしめています。
「お母さん香水、ありがとう。」
     

 

 

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